5.運用・保守
◆作業の概要、目的、タイミング
システム導入後、日々の業務処理やデータ管理、バックアップ、セキュリティ管理、障害対応などを行う。
- ハードウェア・ソフトウェアの幅広い知識、ユーザ企業の業務知識の両面が求められる。
- 開発プロジェクトは納品したら終わりだが、運用・保守はそこからが始まり。
ふつう、開発期間よりも運用・保守期間のほうがずっと長い。
(システムが動いている間は、ずっと必要になる作業。) - ユーザと長期間付き合うことで、信頼関係の構築が大切となる。
また、長期安定収入の確保、次期システム案件の掘り出しにもつながる。
◆事前に必要なもの、情報
この作業の前段階として以下の作業を行い、また、作業に必要な情報として以下のものや情報等を用意しておく。
| この前の作業 | 事前情報、他 |
|---|---|
| ・システムの導入 | ・システムの内容詳細 ・業務知識 ・技術知識(ハード、ソフト) |
◆運用・保守とは
運用とは
- バッチ処理、データ整備・更新、帳票作成、各種設定、バックアップ、セキュリティ管理、消耗品の交換、、、など。
- 日々システムを利用する作業を指す。「システム運用」というと特に、ユーザ個々の利用というよりは、システム担当者が一括して行うような作業を指すニュアンスが大きい。
保守(メンテナンス)とは
- 障害対応、定期点検、問い合わせ対応、システム修正・改善、各種設定、セキュリティ管理、、、など。
- システムの稼働環境を整える作業を指す。特に、専門の技術者が対応するようなものを指すニュアンスが大きい。
運用と保守は、その境界線があいまいなこともある。
特に切り分けをせず、同じ窓口でまとめて対応することも多い。
- ユーザ企業の情報システム部、ITベンダーのサービスセンター、など。
◆具体的な作業項目、手順
運用・保守として考えられる項目の中から、そのシステムの稼働に必要な作業をピックアップし、
その体制、実施スケジュール、実施方法などを検討してドキュメント化する。
- 運用・保守計画書、手順書などのドキュメントがある。
運用・保守の具体的作業には、主に以下のものがある。
バッチ処理
- ユーザがリアルタイムに行う処理(入力、検索など)とは別に、一括して行う処理を指す。
- 処理内容やデータ量にもよるが、ボタン1つで終了するものもあれば、いくつかのコマンドを順序正しく実行しないとうまくいかないこともある。
数時間かかることもある。通常処理が行われている間はできないものもある。 - ユーザの業務の内容と手順をきちんと理解していないと、適切に実行できない。
(バッチ処理の例)
- 日次バッチ:日中に入力しためたデータを夜間にまとめて集計し、マスタデータとして更新する。
- 月次バッチ:その月に発生したデータを集計して表を印刷したら、集計済みの元データを削除して翌月のデータを前準備する。
データ整備・更新
- バッチ処理とも関連する。
マスタデータの整備、データの一括修正・変更など。システムに影響を及ぼすような不具合データの検出や修正を行ったりすることもある。
システムの改変や年度切り替えのタイミングなどでは、大量に発生することもある。 - システムにバグがなくても、データに不備があれば、システムは正しく動作しないことが多い。
データ整備は、ユーザの業務で発生するデータの内容・性質と、それをシステムがどう扱うかという技術的観点の両方の知識が必要。
バックアップ
- システムに関連するもの全体のバックアップ、データのみのバックアップなど、重要度や復旧のしやすさに応じて、バックアップの必要箇所を切り分ける。
通常、アプリケーションはインストールセットがあれば復旧可能なので、バックアップの必要性はあまり高くない(設定ファイルは別)。
データはそれがないので、バックアップしないとまずい。 - 日次/週次/月次などのタイミングと、バックアップ方式を検討し、どうバックアップしていくかを判断する。
- 容量と頻度に応じて、必要なバックアップ媒体(MO/CD/テープ/別HD、など)を選定し、用意する。
その保管場所にも留意する(漏えい対策/災害対策)。 - データ量にもよるが、実行にはそれなりに時間がかかる(数十分~数時間)。
バックアップを実行する時間を決め、必要であれば、OSの自動実行機能なども利用する。 - フルバックアップ
バックアップ対象のファイルを、まるごとバックアップする。それ1つあればリストア(復旧)可能だが、時間がかかり、それなりのデータ容量を必要とする。 - 差分バックアップ
前回バックアップ時から変更のあった箇所だけをバックアップする。
短時間で済み、容量も少なくて済むが、リストアには複数本のバックアップセットが必要となる(直近のフルバックアップ+それ以降の差分バックアップ)。 - よくある例:月曜日にフルバックアップを行い、他の曜日は差分バックアップを行う。
- 容量と頻度に応じて、必要なバックアップ媒体(MO/CD/テープ/別HD、など)を選定し、用意する。
セキュリティ管理
- 特にOSやブラウザなどについては、ベンダーや業界ニュースから提供されるセキュリティ情報をこまめにチェックし、必要なセキュリティ対策をする。
- ウィルスソフトの導入・設定・パターンファイル更新、セキュリティパッチの適用、最新バージョンへの更新など。
- ユーザID・パスワードやそのアクセス権は、社員の入社・異動・昇降級などによって常に変更が必要になる。
障害対応・問い合わせ対応
- ユーザから挙がる電話やメールなどの対応。操作レベルのサポートで済むこともあれば、専門的な知識をもってデータや設定の状態を確認したり、現地に直接出向いてハードウェアの状態を見なければならないこともある。
修正・改善
- 不具合対応、要望による(小規模な)システム改善と、そのパッチ(更新ファイル)の発行と適用。
近年、セキュリティに関するものは特に迅速な対応が必要。
◆成果物、最終イメージ、作業例
この作業で以下の成果物を出す。または完成イメージの状態にする。それをこの後の作業につなげる。
| 成果物、完成イメージ、他 | この後の作業 |
|---|---|
| ・(場合によっては)運用・保守計画書、手順書 | ・(導入支援) |
◆作業上のポイント、注意点
開発だけでなく、運用・保守まで携われるのが「システムインテグレーション(SI)」と言える。
「作りっぱなし」ではなく、その後のユーザの手間やよりよい使い方を一緒に考える気持ちで、長期的に対応する。
- 顧客満足度・信用の向上、別案件の掘り起こしや引き合いにつなげる。
ハードウェア・ソフトウェアを中心とした技術知識だけでなく、ユーザと同等レベルの業務知識や、コミュニケーション力も必要となる。
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